Bリーグ好き勝手

Bリーグ(国内バスケットボール)の主にB1を中心に、スタッツを考察したりしなかったり

バイウィーク企画(6):プレイタイムシェア

 

レギュラーシーズンの試合がないバイウィーク。

 

...から数日。

量が多すぎて紹介しきれなかった数字も少しずつ公開していきたいと思います。

 

最後は各チームのタイムシェアについての考察!

 

 

目次

 

はじめに

他スポーツではかなり珍しいことかと思いますが、バスケットボールでは各選手の出場時間が均等になることが正義として語られます。

選手の質が各々異なっている以上、質の高い選手をできるだけ長い時間出場させた方が有利になるのでは? と考えるのは自然な発想ですが、バスケットボールではこの逆を行っていると言えます。

 

なぜか?

理由は様々ありますが、考えられるのは、

  • バスケットボールの思想として「スピーディ」を是とする(ボールをコートに入れるまでの時間やシュートを打つまでの時間が決まっていたり、極力ビデオ判定を使わない...など)
  • ハードな動きを繰り返すため40分の試合全てを1人が出続けるのは(プロと言えど)体力的に困難

↓ よって

  • スターティングメンバーとサブメンバーの質が変わらない(高い)ほど試合を安定的に有利に進められる
  • 得失点の推移によっては想定より早めの段階で再度スタメンに戻す可能性がある
  • 結果的にスターティングメンバーとサブメンバーの出場時間差異が少ないほど、強さが安定していると言える

などがあるかと思います。

 

今回はプロバスケットボールリーグ B リーグの 1部カテゴリである B1 所属のチームを対象にプレイタイムのタイムシェアを考察してみたいと思います。

 

タイムシェアの定義

タイムシェアと一口に言っても、実はその測り方は定まっておらず人によってまちまちです。まずタイムシェアの定義(何を測ればそのチームのタイムシェアの優秀さが測れるか)を決めていきます。

 

選手の平均プレイ時間

まず考えつくのは、各選手のプレイ時間から各チームに所属する選手の平均プレイ時間を出すことです。平均プレイ時間が短いほどタイムシェアができていると考えてみましたが、結論としては X です。チームに所属している人数が多いほど平均値が下がってしまったり、同点であるかぎり延長戦が続くオーバータイムが多いチームは平均プレイ時間が伸びてしまうためです。

 

出場時間最大、最小、中央値

チームの中で最も試合に出場している選手の出場時間が少なく、最も試合に出場していない選手の出場時間が多ければ、タイムシェアとしては優秀と言えそうですが、これも少なからず登録選手数の影響を受けます。出場時間中央値も同様。

 

出場時間の標準偏差

標準偏差とは分散の√を取った値です。分散とは各チームの出場時間平均と各選手の差を 2 乗したものを合算して人数で割った平均です。つまり標準偏差とは、各選手がチーム内平均値からどれくらいズレているかを足し合わせたものです。

標準偏差であれば、登録人数やオーバータイムを含んだ試合時間などに左右されず、全試合時間を選手数で割った平均値とのずれ具合を測ることができます。

スターティングメンバーかサブメンバーかに依らず、それぞれの選手がチーム内平均値に近いほど偏りが少ないと言えます。

 

と言うことで、ここでは出場時間の標準偏差をチームのタイムシェアの優秀さと定義します。

 

計算方法

以下の方法で各選手のプレイタイム平均を計算します。*1 *2

  1. 元データはプレイバイプレイ解析から秒単位で計測
  2. DNP(ベンチ登録されたが未出場)は出場試合数から除外
  3. 各選手のDNP 以外の出場試合(1秒でも試合に出場した場合)の平均出場時間を計算
  4. 各選手の出場時間平均から各チームごとの出場時間標準偏差を計算

 

元データの条件

  • 2020-21 シーズン B1 カテゴリ 第1節 ~ 第22節(千葉と川崎は第23節) 2021/2/14 までのデータを使用しました。

理由として、1. 特別指定選手はプレイタイムが短くなる傾向にある、2. 特別指定選手を複数人登録しているチームと0人のチームがある、ということでバラつきが大きくなる傾向にありました。中には本契約選手と遜色ないプレイタイムの選手もいましたが公平を規するために全員を除外しています。また、元データの収集時点で津屋選手はまだ特別指定選手契約だったため除外しています。

 

前置きが長くなりましたが、本稿での結論を記載したいと思います。

 

プレイタイムシェア(出場時間 偏差値)

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と言うわけで、プレイタイムシェア No.1 は宇都宮となりました!

箱ひげ図を見てみると分かる通り、四分位数が非常にコンパクトにまとまっており、出場時間のバラつきが非常に小さいことが見て取れます。

ロシター選手に大きな負荷がかかるのかな?と予想していた今季でしたが、最大出場時間でもリーグトップに低い値となっており、最小値もかなり高い場所に位置取りをしています。若干1名ほど外れ値があるのは見なかったことにします。*3

 

タイムシェアと言われて想像しがちな SR 渋谷は 4 位。特指を含むと 1 位でした(特使選手の出場時間もかなり優秀な値)。

逆に言うと、それより上位の川崎/秋田はあまり皆には気づかれていないけど、隠れたプレイタイム巧者と言えるのかもしれません。

 

まとめ

やはり宇都宮は強かった!

 

今回はプレイバイプレイ解析がようやく使えるレベルになったということで、何か面白い分析対象がないかなと無理やり探してみた結果だったりしましたが、プレイバイプレイを秒単位で追うというそこそこ独創的な解析ができたと思います。

 

オンコートスタッツや同時出場選手の時間を取ったりもしているので、今後も折に触れ紹介していきます。

 

*1:1 はボックススコアから取れば簡単かつ正確だったのですが、2, 3 の処理をプレイバイプレイ分析で実装したため上記の流れとなっています。

*2:2 は DNP で連続試合出場が途切れるということもあり、ベンチ登録外と同様の扱いとしました。

*3:箱ひげ図上は別の値のように点で表示されていますが、ちゃんと計算では参照されています