Bリーグ好き勝手

Bリーグ(国内バスケットボール)の主にB1を中心に、スタッツを考察したりしなかったり

オールスター選出結果の考察 2

 

ついに発表されたオールスターの投票結果!

 

検証考察編と題して、何回かに分けて投票の傾向を見ていきたいと思います!

 

 

 

目次

 

 

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前回は投票結果から各選出結果の妥当性チェックをしました。 *1

gyrokawai-basketball.hatenablog.com

 

今回は得票数から「各チームがどんな理由で票を獲得したか」を考察してみたいと思います!

 

全体得票の傾向

今回のオールスター投票の得票総数は 4,261,526 票でした。

 

その内訳はスマコレから 3,217,240 票、Web 投票から 1,044,286 票。

割合にすると、スマコレ経由は 75.1%Web 投票経由は 24.9% となります。

最終日に近くなると 2 票ボーナスや 5 票ボーナスがあったスマコレの方が圧倒的な結果ではありますが、特定条件を満たさなくてはならないことを考えるとそれが与えた影響は少なく、単純に投票手段の差が出ていると考えられます。

 

つまり、スマコレで投票した人の約 2/3 はWeb 投票はしない(仮説1)

 

システムと無効票

各チームのスマコレ投票と Web 投票の数を比べてみます。

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スマコレは 13,834 票もの差で B.BLACK の方が多いです。

これは、スマコレの投票画面がチームごとに分かれていて、B.BLACK の 5 名のみを投票して B.WHITE の投票をしないことが可能であるためと考えられます(仮説2)

 

対照的に、Web 投票はチーム間の差が 2 票であることから、各チーム 10 名を選択して最後に確定ボタンを押すことで両チームの投票が行われるつくりになっていたと考えられます(仮説3)

 

では、この 2 票の差は何か?

 

考えられるのは無効票

そもそも最小投票単位が 5 名なのに投票結果はどれも 5 の倍数になっていません。

意図的に除外した票がない限り、この票数にはなり得ません。

 

無効票がどのように発生するかは難しいですが、例えば、

  • 投票期間中の契約終了/引退選手への投票
  • ブラウザクッキーの操作による同一端末からの多重投票

はあり得そうです。

 

どの程度無効票が発生したかを測るのは、労力のわりに得るものがない(投票結果に影響を与えない)ので今回は考えません。

 

各チームの得票割合

さて、ここからようやく各チームがどんな理由によって票を獲得したかを考察します。

応援チームが多く得票するにあたり、投票結果に影響を与えるものは大きく分けて2種類あります。

  • 1つ目は当然ですが「応援チームのファンが多く投票する」こと(仮定4)
  • 2つ目は「応援クラブが所属していないチームからの得票」です(仮定5)

 

仮定 4 は後ほど詳しく分析しますので先に仮定5「応援クラブが所属していないチームからの得票」を考えます。

 

Web 投票に仕掛けられた罠

まず、それぞれの投票手段の得票割合を見てみます。

B.BLACK

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B.WHITE

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この時点で違和感に気づいた人は凄い!

 

... 分かりますか?

もしスマコレと Web 投票が全く同じ仕組みなら、投票結果も同じ割合になるはずです。スマコレと Web 投票で投票している人を変えている人がいるからではありません。全く逆のことをする人がいるため全体では差し引き 0 に近くなります。しかしながら、スマコレと Web 投票結果には顕著な差があります。

 

ここです。

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Web 投票は画面の最初と最後に表示されるチームの得票率が高い(仮説6)。

 

なぜこれが起きるかというと、最初に言った「応援クラブが所属していないチームからの得票」(仮定5)があるためです。

 

Web 投票画面を思い出してください。

今回の投票は、自分の好きなクラブだけに投票することが不可能な作りになっています。自分の応援するクラブが所属するチームに投票したら、必ず他方への投票が必要です。

 

各チームファンは自チームの投票ができればいいわけです。

しかしシステムは相手側のメンバーを選ぶまで投票を確定しない(仮定3)。リーグ全体にはさして興味がないライト層はこう考えます。

「とりあえず最初のメンバー選んどこ」... と!

 

そして下にスクロールして確定ボタンを押そうとします。そして気づくのです。

「あ、3人選ばないと確定ボタン押せないじゃん」...!!

 

そうして考えます。

「もう一度上から見るのは面倒だな」!!!

「...一番下のチームから追加で選んどこ」(バァアアアアン!!!)

 

こんなところではないでしょうかねえ?(右京さんバリに)

 

推しは尊い

スマコレの方も推理していきましょう。

 

スマコレは 5 枚のカードをセットするタイプで UI としては Web 画面より数段洗練されています。*2

前回投票した内容がそのまま記憶されているので選手を変更しないなら投票は 1 ボタン。かなり楽で、それ故に選手を変えて投票する動機に乏しくなります

 

そのまま投票すれば先ほどの合計獲得票数の分布通りに得票するはずです。

(再掲)

B.BLACK

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B.WHITE

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しかし実際にその通りに投票されるのではなく偏りがあるはず。

では誰がセットされやすくなるか。

 

おそらく「推し選手」に投票する層が一定数いるのではないでしょうか?

 

そして誰が「推し選手になりやすいか」を考えると、応援クラブに過去所属していた選手チームが変わっても好きな選手が推し選手になりやすいと推理できます。

そして「応援クラブが所属していないチームからの得票」(仮定5)と合わせて考えれば、相手チーム側のクラブに移籍した選手は投票されやすい(仮定7)はずです。

 

そこでチェックしました。

B リーグ開幕以後、移籍した選手の所属先。

 

B.BLACK

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B.WHITE

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移籍した選手が多ければ、票を得る確率が上がります。

もちろん皆がみんな推し選手がいるとは限らないので、ここでは約 20% 相当の人が推し選手に投票したと仮定します

移籍してから長く経過した選手もいるので推しメン得票割合を独断と偏見で調整し、他の方は得票数に従って投票したとすると、以下のような偏りが生まれます。

 

B.BLACK

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B.WHITE

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さて、この偏りで何が分かるか?

殆どの人が「応援チームのファンが多く投票」(仮定4)するということは、自チームに満票を入れて相手チームはこの分布通りに投票することになります。

すると、得票数のうち応援チームのファンから何票ぐらい入り、他チームのファンから何票ぐらい入ったかを推察できてしまいます。

 

色んな推論が入っているのであくまでも参考値ですが、適当に調整し、以下のような結果となりました!

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自チームファンの投票に占める割合(推定)の順

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何となくわかってはいましたが、宇都宮の投票率が圧倒的最多。そして全体的に B.BLACK の方が投票に熱心なチームが多い。

 

注目いただきたいのは、第 2 位が広島ドラゴンフライズということ。結果の得票数こそ多くありませんが投票は熱心に行っていたのではないか? と想像させます。

まして広島と信州は他チームから移籍してきて得票できる選手がいません*3

投票をやってないな... サボっちゃったな...

そんな人は、逆境の中で自分たちができる精いっぱいをやった彼らに見習うつもりで次回頑張りましょう!

 

しかし、投票割合が低いことが = 悪いこととは限りません。

相手チームから投票してもらうことを意図的に誘導していれば自己投票割合は自然と低くなりますが、それは立派な投票戦略

問題はいかに大きな票田から融資を取り付けられるか? だったりします。

 

実投票数(推定)の順

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では各チームで持っていた実票数がどれくらいかというと、こちらも宇都宮が圧倒的でしたが、こちらでも信州と広島は中位に位置付けています。結果が伴わなかったとしてもその努力は讃えるべきところでしょう。

 

そして上記の表はそのまま「応援チームのファンが多く投票する」こと(仮定4)に繋がります。

 

「応援チームのファンが多く投票する」こと

推定投票数を見て「やはり宇都宮は圧倒的だ、勝てっこない」と感想を漏らした人がいるかもしれません。

 

果たしてそうでしょうか?

 

推定投票数を投票期間の 28 日で割ります。すると一日あたりの得票数が出ます。

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ところで、下が昨年度のホームゲーム来場者数平均。

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中にはアウェーの来場者も含まれますが、ホームのファンに比べて圧倒的に多いなんてことはないはず。

 

もし彼らが毎日渡される 10 票を投票したらどうなるでしょうか?

 

もう分かりますよね?

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来場者数平均が最も少ない信州でさえ全ての人を巻き込めれば、1 日に 16,010 票を投票することができます。あれだけ多いと思っていた宇都宮の投票数 14,989 票を上回ります。100% が難しいのだとしても 50% の得票があれば千葉を上回れます。

その信州は入場者数に対しての得票率推定 5 位と、他チーム支援もない中で実は大健闘をしていたと言えるでしょう。オールスターに誰も出場できないというのが残念でなりません!!

 

ファンの多さはクリアすべき巻き込む人数の容易さでしかありません。

A東京と琉球はどちらも日本屈指の人気クラブですが、来場者数と投票率が逆転しているのはなぜか。他の得票率上位陣を見渡しても、おおよそ投票率が高いことが分かるかと思います。

 

あえて言おう。

得票数が多いチームは、ファンが多いのではなく、ファンの投票率が高い。(仮定8)

ルールを嘆くな! 投票率を嘆け!

 

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

今回出てきた仮説を見ていきましょう。

  • スマコレで投票した人の約 2/3 はWeb 投票をしない(仮説1)
  • スマコレ投票は片方のチームの 5 名のみを投票してもう一方の投票をしないことが可能(仮説2)
  • Web 投票は各チーム計 10 名を選択しての投票しかできない(仮説3)
  • 当選するためにはその1:「応援チームのファンが多く投票すること」(仮定4)
  • 当選するためにはその2:「応援クラブが所属していないチームからの得票を得る」(仮定5)
  • Web 投票は画面の最初と最後に表示されるチームは得票されやすい(仮説6)
  • 相手チーム側のクラブに移籍した選手は投票されやすい(仮定7)
  • 当選するためにはその3:得票数が多いチームは、ファンが多いのではなく、ファンの投票率が高い。(仮定8)

 

ここから導き出せる結論は1つ。

 

投票して、投票して、とにかく投票しまくれば、オールスターに出られる!

 

そういうことです。

 

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*1:ちなみに指摘内容については、B リーグ公式お問い合わせに記事を投稿した直後とその1 週間後の 2 度問い合わせしていますが、まだ回答はありません。

*2:カード選択する際に画面が上下2分割されるのは酷いものですが。

*3:小野選手が頭に浮かびますが、信州と千葉は同じ B.WHITE です。