Bリーグ好き勝手

Bリーグ(国内バスケットボール)の主にB1を中心に、スタッツを考察したりしなかったり

【B2】2021-22 シーズン チーム順位予想 結果

 

レギュラーシーズンも全日程を終了したので、

(やめときゃいいのに)予想結果の答え合わせなんかしてみたいと思います。

 

今回は B2 のチーム順位予想と 外れた理由を言い訳します。

 

 

目次

 

戦前予想

シーズン開始前の順位予想は以下記事をご覧ください。 

gyrokawai-basketball.hatenablog.com

 

 

最終順位

順位表 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト - B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

* リンクは次シーズンになるまで有効。

 

 

地区内順位

東地区

西地区

 

東地区は2か所(越谷<->仙台、青森<->東京Z)が予想外れ。

西地区は香川が優勝したことで他がそれぞれ1つ順位を落としました。

要因についてはトータル順位のところで解説します。

 

トータル順位差異

CSに出場した上位 8 チームは予想当たりとなり一安心。

しかし毎年恒例ですが、一部ブースターに謝罪が必要な大外しもあったので その理由を(というほどのものでもないですが)解説してみたいと思います。

 

6順位ジャンプアップの仙台

全体予想8位から2位と大きく予想を覆したのが仙台。いったい何が変わったのでしょう。

 

・外国籍に恵まれた

上位予想で順位を落とした熊本と越谷。両者とも優秀な即戦力外国籍を保有していましたが、相次ぐ主力級の離脱で なかなか万全な状態とならなかった熊本、負傷者の多さからオクテウス選手を手放す判断をした越谷と、チーム状態に外国籍を完全にフィットさせることができませんでした。

その点 仙台はジャスティン・バーレル選手を中心に、デビン・オリバー選手、ジェロウム・メインセ選手がシーズン通して活躍しました。特にオリバー選手は全選手の中でも10傑にふさわしいほどの活躍となりました。

 

・藤田HCの徹底した戦略

外国籍が固定できたのももちろん大きな要因と考えますが、仙台も日本人主力選手の離脱がありました。そこでは新HCとして就任した藤田HCの戦略がうまくフィットし、マイナス面を大きく目立たせずに戦い抜けたのではないでしょうか。

仙台のレギュラーシーズンの全シュート数の 3,297 のうち 3ポイントシュート が 1,293本、2ポイントシュート が 2,004本。この割合自体はさほど気になるものではありませんが、注目したいのは、3P は 1,121本(86.7%)を日本人選手が打ち、2P は 1,404 本(70.1%)を外国籍選手が打つ、とある種 極端なまでに一貫しているということです。

 

仙台のレギュラーシーズン試投数割合

 

独自指標の対象としている「全選手のプレイタイム中央値 ÷2」以上のプレイタイムを得た選手のうち、3ポイントシュート < 2ポイントシュート となっているのは負傷離脱した澤邉選手のみです。おそらく澤邉選手離脱以降に完全に方針転換したのではないかと想像します。

 

香川に代表されるように、3ポイントシュートの多投スタイルが徐々に B リーグを席捲し始めています。この理由は3ポイントシュートが高効率な攻撃であることが挙げられますが、外国籍選手も含め 5メンアウトのアライメント(オフェンスの立ち位置のセット)を取ると 外した時にリバウンドが取れず 二の矢を継げなくなってしまうという側面がありました。

そこで仙台は、インサイドで勝負しづらい日本人選手は得点効率が高いシュートを打つ、インサイドの高確率のショットは外国籍選手が打つ、という完全な分業制に進化させました*1。3ポイントシュートは飛びぬけた成功率の選手は存在するものの 中間層にそれほど差が出ないため、日本人主力を欠くことになったチーム状態においても比較的大きく得点力を落とさなかった要因の一つと言えるでしょう。

これは単純なアプローチなようにも思いますが、「ディフェンスを崩してより確実なショットを選択したくなる」とされるバスケットボールで、日本人選手に積極的にショットを打たせることはそれほど容易ではなく、外したとしても3ポイントシュートを撃ち続けるメンタルを要求されるのは選手にとっても重圧であったと想像できます。

そんな中で 64/137(46.7%)と今季3P王を上回る成功率(成功数不足のためランキング対象外)を残した "ソルジャー" 片岡大晴選手の活躍などもハマり、東地区2位での CS 進出となったと分析します。

 

西地区を制した香川

天皇杯で相次いでB1チームを撃破し話題をさらった香川。その実力はフロップではなく、西地区優勝の座を手にしました。

 

・弱者が「強者に立ち向かうため」の戦術

仙台の項でも触れましたが、香川は完全なる「3ポイント多投スタイル」でした。

特に天皇杯では 3ポイントシュートの試投数が 2ポイントシュート試投数を上回る徹底ぶりは昨季の信州を彷彿とさせ、地方のB2チームがB1のチームを次々となぎ倒し 中央のA東京に挑戦する爽快感に心躍らせたファンも多いはずです。

 

香川のレギュラーシーズン試投数割合

 

レギュラーシーズンではアンガス・ブラント選手・リース・ヴァーグ選手のオーストラリア代表コンビが不在となった時には簡単に負けてしまう脆さもあり、やはりリバウンド絶対取るマンの存在が3ポイント多投チームの生命線と言えるでしょう。逆に言うと、両巨頭が中で機能することで 2ポイントシュートとの二択を迫ることができ、3ポイントシュートを打つためのスペースが広く与えられるようになる好循環が必要不可欠。後半戦ではシンプルにブラント選手にボールを入れる選択肢も増えてきたように思いましたが、それでも 3ポイントシュート試投割合は 42.6% と他チームを圧倒しています。

 

この「3ポイント多投スタイル」は 3ポイントシュートに依存するがゆえに比較的に不確実性が強い戦術と考えられます。言わば、弱者が「強者に立ち向かうため」の戦術であり、もともと素地が強いチームが積極的に採用するものではなかった。しかしながら、今回香川が西地区王者となったことで そういった先入観が薄れ、やがてリーグ全体に革命を起こす可能性があります。その端緒を見られているということも、ひとつ ワクワクさせるシーズンだったと言うことができるでしょう。

 

*1:単純な4アウト1インと何が違うのかというと、基本的には変わりませんが "より本来の目的に近づいた" のだと考えます。旧来のBリーグはスコアラーとパサーが完全に分離している印象がありましたが、ディフェンスからすれば「この選手は打ってこないな」と思えば一歩引いて守りを固めることができます。仙台は全員がまずリングを狙ってきますのでディフェンスも前に出ざるを得ません。