何点差までなら逆転できるのかを集計してみた
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目次
はじめに
冒頭は今回のテーマ「逆転」にちなんで「逆転イッパツマン」のオープニングテーマをお送りしました。
今回は、2016-17 シーズンから 2020-21 シーズン のプレイバイプレイを基に「何点差までなら逆転可能か」を考察してみたいと思います。
延べ 5,068 試合、40,889 に及ぶ点差シチュエーションを集計し、Bリーグの逆転の可能性を抉じ開けます!
同点に追いついた最大得点差
さて、皆さんが今までに見た同点に追いついた(もしくは逆転した)シチュエーションの中で最大の得点差は何点でしょうか?
よく「あんなにあった得点差が溶けた」なんて言ったりもしますよね。
記憶に新しいところでは 2021 年 3 月 21 日に行われた大阪-北海道戦は、北海道が最大 24 点差のビハインドから大逆転ブザービーターで勝利しています。
ちなみに、最大 24 点差がついたシチュエーションは過去に 160 回あり、そのうち 5 回が同点もしくは逆転しています。ざっくりした計算では 5/160 = 3.1% 程度の確率しかない奇跡が起きたと言ってもいいでしょう。
しかし、3.1% しか起きない 24 点差同点でさえ、追いついた最大の得点差ではありません。
追いついた最大の得点差は 30 点。
それが起きたのは、2017年3月25日 2016-17 シーズン 第24節 バンビシャス奈良 v.s. 東京エクセレンス の試合です。
3Q 残り 8:12 のステファン選手のショットで 奈良 31-61 東京EX と 30点差となりましたが、奈良はここから猛反撃を開始。3Q 終了時点で 60-69 の 9 点差まで詰め寄り、試合残り僅か 11 秒でウッドベリー選手の 3P シュートにより同点に追いつきました。
更に残り2秒でウッドベリー選手がスティールから再度 3P を放ちますが、これは外れてオーバータイムに突入。オーバータイムでは一時奈良が 6 点差でリードしますが、最後は東京EXが意地を見せ試合は 104-106 で東京EXが勝利しています。
この時に追いついた最大 30 点差が追いついた最大得点差です。
ちなみに最大 30 得点差がついてから同点にならずに終了した試合が 65 試合あるので、追いつく確率は 1/66 = 約 1.5% となります。
この記事では、この追いつく可能性の確率を便宜上「追いつき率」と呼称することにします。30点差の追いつき率は約 1.5 %、というような感じです。
同点ないし逆転するまでに開いた最大得点差の回数をカウントして分母としていますが、得点差は1試合の中で複数回発生する可能性があります(一度10点差がついて追いついたあと、また10点差になることもあり得る)。
また、追いついた時点で「追いつき成功」と判定するので、その後の逆転もしくは再逆転などで結果的に試合に勝ったか負けたかは考慮していません。
30 点差の次に多い「追いついた最大得点差」は 27 点差。追いついた試合が 1 試合、追いつけなかった試合が 100 試合なので追いつき率は約 1.0 %となります(30 点差よりも低い値)。これはそもそも 30 点差の試合が発生しづらいために確率の逆転現象が起きます。28 点差、29 点差については追いついた試合がないので追いつき率は 0% です。
追いつき率
それでは点差状況からの追いつき率を見ていきましょう。
~2020-21 シーズンまでのデータに更新しました(2021.12.7)
現在までに出現した最大得点差は 60 点なので点差は 60 まで算出しています。
黒線が全体の追いつき率を示します。歪な個所もありますが、おおむねグラフはなだらかな曲線になりました。追いついた最大点差が 30 なので、当然 31 ~ 60 点差の追いつき率は 0% となります。
詳細な数値は以下の通りです。
Home/Away の追いつき確率は、出現回数をそれぞれのシチュエーションに絞って算出しています。*1
~2020-21 シーズンまでのデータに更新しました(2021.12.7)
30点差以降は → *2
追いつけるか追いつけないかという視点では 13 点差と 14 点差に大きな溝があり、単純に 50% を割り込んでしまうのと同時に、実に 13.22% も追いつき率が悪化します。
気になるところでは、先ほどのグラフで歪に感じられた 21 点差および 19 点差。
前後の値も合わせて見てみましょう。
ご覧の通り、ホームチームの逆転率は滑らかですがアウェイチームの逆転率が高いために全体に影響を及ぼしている感じ。
アウェイの 21 or 19 点差は今後も要注目です。
富山グラウジーズの追いつき率
このグラフはチームごとにも出せるので、試しに富山でも算出してみましょう。
試合サンプル数が多くはないので先ほどよりガッタガタなグラフですが、傾向としては同程度です。ただ、ある地点から追いつき率が地を這っています。
~2020-21 シーズンまでのデータに更新しました(2021.12.7)
そう、実は富山グラウジーズは 20 点差以上ついた状況では、過去 1 度も追いついたことがありません。
「なんちゅう…なんちゅう値を見つけてくるんや…」
という声が聞こえてきますが、筆者もまさかこんなことになるとは思っていませんでした。
しかし強みもあります。
富山は 15 点差 16 点差に対し 50% の追いつき率をつけており、先ほどリーグ全体では鬼門だった 14 点差の壁をものともしない火事場のばか力が隠れていると言えます。
ここの 17 点差を超えない限りは諦めるのは時期尚早かもしれません。
富山グラウジーズの追いつ "かれ" 率
ここまで来たので、せっかくだから逆の追いつかれ率も出してみましょう。
富山の対戦相手の結果を合算します。
以下「Home」は対戦相手にとってのホームとなりますので、富山にとってはアウェイとなり、意味が逆になることにご注意下さい。グラフの色合いは場所に合わせて逆転してあります。*3
~2020-21 シーズンまでのデータに更新しました(2021.12.7)
傾向としては同じですが、13 点までの追いつかれる確率が高く 14 点以降の追いつかれる確率が低いため、14 点の壁が絶壁と化しています。
絶壁のままならよかったんですが、よく見ると、そこは崖ではなく谷底なのだと気づきます。気になるのが「16 点差」。
なんと、16 点差の追いつかれ率は 100%。
それも全て富山のホーム会場。
しかも厄介なことに、富山ホームでの最大得点差 8 点差以下の追いつかれ率はかなり高いです。ざっと計算してみたら最大得点差 8 点差以下での富山の勝利は 9 回しかなく*4、追いつかれたのが 432 回。その追いつかれ率はなんと驚異の 98.0%!
これはもはや「追いつかれ力」と名付けたくなるレベル。ホームなのに...
結論
追いつかれ率なんか出さなきゃよかった。
余談
ちなみに前半終了時点で n 点差での逆転率は、実は計算する必要がありません。
なぜなら仮に両者の実力が全く均等であるという前提の場合には、前半 20 分間と後半 20 分間の得失点差平均は必ず 0 に近づくと予想されるためです。
前半に 10 点差リードをつけられても 100 点差リードをつけられても、同じ 20 分間である後半にその点数を取ることが可能なため、後半で追いつく可能性が必ずあります。
ですので逆転の可否を考える場合に主に考慮すべきは、点数差と点数差を縮めるのに必要な時間が残されているか、のセットとなります。
追いついた点数差の平均時間を見ても 20 分を超えているのは 25 点差のときのみで、後半の時間があれば 追いつく可能性はほぼ必ず残されていると言えます。むしろ前半終わっていない時点で 25 点差をつけられている状況はかなり特殊な気はしますけれど。