Bリーグ好き勝手

Bリーグ(国内バスケットボール)の主にB1を中心に、スタッツを考察したりしなかったり

バイウィーク企画(4):順位とスタッツの相関

 

レギュラーシーズンの試合がないバイウィーク。

 

...から数日。

量が多すぎて紹介しきれなかった数字も少しずつ公開していきたいと思います。

 

今回は順位を上げるスタッツについての考察!

 

 

目次

 

はじめに

バスケットボールは数字が多いスポーツなのでスタッツを眺めるのが非常に楽しい。

でも、スタッツを追いはじめるとこう思いませんか?

 

「このスタッツは果たして勝利にどの程度関係しているのか?」

 

ほら、たまに「リバウンドを制する者は試合を制す!!」とか言いたくなるじゃないですか。

でも実際にバスケットボールをプレイしたことがないと、リバウンドがどの程度勝利に貢献しているか分からないので心の中では「リバウンドを制する者は試合を制す!!......!?.....かもね...」ぐらいの自信しか持てなかったりしませんか?

かと言って、スタッツに載るものがバスケットボールの全てでもないし…

 

と、お悩みのそこのアナタ!!

今回は各スタッツがどの程度勝利に関係しているのかをじっくり考察していきます。

 

順位とスタッツの関係

まず手始めに昔ブログで解説したスピアマンの順位相関係数を見ていきます。

 

過去記事はここ ↓ 

gyrokawai-basketball.hatenablog.com

 

スピアマンの順位相関係数

スピアマンの順位相関係数は、ざっくり言うと勝利数の順位各スタッツの順位がどの程度相関しているかを調べるものです。*1

 

数字の見方

1.00:完全相関

0.70 ~ 1.00:正の相関が認められる

0.40 ~ 0.70:正の相関があるかもしれない

-0.40 ~ 0.40:相関がないみたい

-0.70 ~ -0.40:負の相関があるかもしれない

-1.00 ~ -0.70:負の相関が認められる

-1.00:完全逆相関

 

注意点

* 数字が倍であっても、0.6 は 0.3 の倍の相関があるという意味にはなりません。

* -0.40 ~ 0.40 の間であっても全く相関がないとは限りません。グラフにしてみると2次関数曲線を描いていたりすることがあります。

* 「%_M」は試合ごとに%を取りその平均を出したものです。

 

得点の相関

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例として、得失点周りだけで出すとこんな値になります。

当然ですが勝利数の順位は勝利数の順位と完全一致。

得点の順位は勝利数順位に対して正の相関があり、失点は負の相関があるかもしれません。これは失点数が多くても勝利数(=チーム順位)で上位につけているチームがあることを示しています。

得失点差では完全相関ほどではありませんが、ほぼほぼ一致すると見て間違いないでしょう。

 

自チームスタッツ

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見方が分かったところで、自チームのスタッツから相関を見ていくと、「フィールドゴール決定数(FGM)」「トータルリバウンド(TR)」「最大得点差(BL)」の3項目で相関があることが分かります。正に「リバウンドを制する者は試合を制す!!」わけです。最大得点差については、得点差が開くと相手はそこから逆転しなくては勝利に結びつかないので順当なところでしょうか。

逆に相関がありそうで認められなかったのが「3P%」「FT%」「four-factors:フリースローレート(FTR)」、この辺りでしょうか。

 

対戦相手スタッツ

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同様に対戦相手のスタッツ(被スタッツ)の相関も見ていきます。
「被ディフェンスリバウンド(opp_DR)」「被トータルリバウンド(opp_TR)」「被最大得点差(opp_BL)」の 3 項目が目立ちます。これが意味するところは、「強豪チームは得点差を離されない」「強いチームは相手にディフェンスリバウンドを取らせない」ということです。

「強いチームは相手にディフェンスリバウンドを取らせない」要因は、オフェンスリバウンドが多い? のか フィールドゴールを決めきるのでそもそもディフェンスリバウンドの機会が少ない? のかなどを探るのも楽しいですね。

 

各スタッツの分布

最後にスタッツごとに勝利数を横に取った散布図にして関連の度合いを見ていきたいと思います。量が膨大なので気になったところだけコメントを加えていきます。

 

* ← が自チームスタッツ  → が相手スタッツ

* 線は Excel が自動的に付与してくれる線形予測の近似曲線です。 

 

得点および失点

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程度の差はありますがロースコアゲームを好むチームでも特段得点が低いという傾向はなさそうですね。失点が多い上位陣はSR渋谷/富山で、この2チームは得点でカバーしていることになりますが、それでも下位チームよりは小さな値であることが分かります。

 

得失点差

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 +200点を超えるのは宇都宮/千葉/三河/富山。

 

2ポイントシュート決定数(2PM)

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2ポイントシュート試投数(2PA)

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2ポイントシュート決定率 平均(2P%_M)

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スピアマンの順位相関係数では目立たなかったスタッツですがグラフでは目立って傾きが大きい項目。上位 10 チームは 55% 越えが多いものの、宇都宮/琉球/秋田/東京がストンと低いです。上 2 つの 2P 決定数/試投数を見るとこれらのチームが特別少ないわけでもなく(唯一名古屋は試投数が低く成功率が高い)。被スタッツはほぼ平行線なので、失点にはあまり影響ないのかも。

 

3ポイントシュート決定数(3PM)

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 唯一 300 回以上の 3P を決めているのは 3P ランキングを独占している三河ですが、同じラインを誇っているのは信州(292回)。信州は 2PM が 423 回と断トツで少ないので(次が滋賀の 556 回)、ストレッチ4 をはじめとする 3P 主体の NBA の流行りを取り込んでるのかな? 1 つ下の試投数は段違いに多い。

それを抑え込んでいきたいという思惑が見えるのが宇都宮/琉球/A東京で被3PMが 180 前後で被 3PA が 540~590。信州もその辺りのところを警戒しているのか被 3PM 211 回と少な目。

 

3ポイントシュート試投数(3PA)

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3ポイントシュート決定率 平均(3P%_M)

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フィールドゴール決定数(FGM

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スピアマンの順位相関係数で相関を示した FGM。このようにバラつきが少なく右肩上がり(もしくは右肩下がり)の図となります。

 

フィールドゴール試投数(FGA)

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フィールドゴール決定率 平均(FG%_M)

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フリースロー決定数(FTM

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フリースロー試投数(FTA

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FT 周りは各チームそれほど差がありませんが、三河の圧倒的に少ない試投数 411 が気になります...

 

フリースロー決定率 平均(FT%_M)

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オフェンスリバウンド取得数(OR)

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ディフェンスリバウンド取得数(DR)

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リバウンド取得数(TR)

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スピアマンの順位相関係数で相関を示した TR 2種。まさに「リバウンドを制する者は試合を制す!!」わけですが、上位で被 TR を取られやすいのは秋田で数値は 1,138 回。ブロックショットが得意なコールビー/トラビスが取っていそうな気がしますが意外ですね。

 

アシスト数(AS2)

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アシスト数が少ない琉球(540 回)。

 

ターンオーバー数(TO)

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相手ターンオーバーを多く獲得する秋田(520回)と SR渋谷(501回)。 後ほど出てくるポイント フロム ターンオーバーの項目でもこの 2 チームは飛びぬけます。

 

ティール数(STL

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ティールは SR渋谷が 282 回で、秋田が 275 回。

 

ブロック数(BLK)

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ブロックショットが得意なコールビー/トラビスがいる秋田が 136 回! 大阪も 110 回でなかなか善戦しています。

 

ファウル数(FO)

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ファストブレイクからの得点(FBP)

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ファストブレイクポイントはいい角度だなと思ったのですが、低いほうに注目すると、琉球が 193点、三河が217点。極めつけは信州の 128 点がかなりの外れ値となりました。琉球は被 FBP も 196 点と、スローペースのハーフコートゲームでディフェンス勝利している印象です。

 

最大得点差(BL)

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ペイント内シュートでの得点(PITP)

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相手ターンオーバーからの得点(PFT)

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セカンドチャンスからの得点(SCP)

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(分析時点で)首位の宇都宮が強いなと思ったのはここ。オフェンスリバウンドでは秋田やSR渋谷の方が多いのですが、セカンドチャンスはリーグ 2 位の 428 点(1 位は琉球の 431点)と 1 ポゼッションあたりの得点効率の良さを感じます。機会があればポゼッションあたりの得点も出してみたいですね。

 

four-factors:ターンオーバー%(TO%_M)

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four-factors:エフェクティブ フィールドゴール%(eFG%_M)

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four-factors:オフェンスリバウンド レート(OR%_M)

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four-factors:フリースロー レート(FTR_M)

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まとめ 

考察しているうちに何度か固有のチーム名が出てきたので、次回はチームカラーの分析をしてみたいと思います。

 

*1:正規分布かどうかを検討するのが面倒なのでスピアマンを使っていますが、ピアソンでもあまり変わらない値が出ます。