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Bリーグ(国内バスケットボール)の主にB1を中心に、スタッツを考察したりしなかったり

【B1】出場時間から見る「宇都宮ブレックス」とはどんなチームか

 

今回はいつもの展開予想をお休みして、宇都宮というチームを出場時間から分析(?)した内容を書いていきたいと思います。

  

 

目次

 

前段

今季は各種データを分析する基盤を作っていく学習の季に充てているのですが、直近のデータ範囲として「プレイ バイ プレイ」に取り掛かっています。

プレイバイプレイは抽出するデータの量も多いですし時間経過による変化も計算しなければならないので、データ抽出と計算の領域を分けながら進めており、今はようやくデータ抽出は目途がついて計算に入っていけるかな? 程度の進捗となっています。

 

計算の手始めとして、オンコートプレイヤーを確認し、誰が何分プレイしたか(プレイタイム)をプレイバイプレイから抽出しました。

ただ普通に当人だけのプレイタイムを計算しても、それはスタッツにも載っている項目ですのであまり面白くない。

というわけで、誰と誰が同時にコートに立つことが多いのかといった組み合わせのプレイタイム(便宜上プレイタイムマトリクスと呼んでいます)を抽出しました。

 

直近の「大阪-宇都宮」戦を例にすると、以下のようなデータが出ます。

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  • # は背番号(見栄えのために後から追記)
  • 空白行列は見栄えのために後から追記

上の表の見方ですが、左の # 背番号と上の #背番号がクロスしたところが一緒にプレイしていた時間(秒数)です。

背番号 9 の遠藤祐亮選手の出場時間は 1,127 秒(自分自身と一緒にプレイしたとみなす)、背番号 6 の 比江島慎選手と一緒にプレイしていた時間は 941 秒でした、などが分かります。

また、コートインした順番に記録されるので、行頭 5 行の 5 名がスターティングファイブ、それ以降の選手がリザーブメンバー(プレイ時間あり)です。

 

上の表をぼーっと見ていたら気づいたことありました。何か分かりますか?

 

というのは、この内容です。

  

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なんとなく、スターターの部分とリザーバーの部分にプレイタイムの偏りがありませんか? 

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つまり、彼らは単純に先発 or 控えという個人の単位なのではなく、ファースト "ユニット" とセカンド "ユニット" という固まりだということです。

 

この考えを確かめるべく、今シーズンの過去の宇都宮の試合の統計を取ってみました。 

 

出場時間傾向

はい、というわけで出来上がったのがこのマトリクスです。

(上が総時間、下が試合平均)

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やはりある程度の傾向は出ました。

と言いながら、もっと綺麗に分かれるチームもあるので、宇都宮は比較的組み合わせ自由度の高いチームだと言えるかと思います。

 

意外だったのが、ロシター - ギブス の組み合わせは過去の印象ほど多くなく、ロシター - スコットの組み合わせに移行しているということ。外国籍+帰化の組み合わせで言うと、ロシター - スコット、ギブス - ピーク が主体となっています。当然ロシター - ギブス or ピーク もないわけではないのですが、上記の2組み合わせに比べると比較的少ないです。

また、ピーク選手と喜多川選手はセカンドユニット寄りながら、全員と遊撃選手的に組む傾向が強いです。特にピーク選手の使い方は安斎HCも試行錯誤しながらの運用となっているのではないか? と思ったりします。(妄想ですが)

 

各ユニットの割合はほぼ均等となっているので、プレイタイムシェアという意味ではユニットの併用はうまくいっていると言えるでしょう。

 

スタッツ傾向

不安要素を抱えるのは、ファーストユニットとセカンドユニットの間にややはっきりした格差が表れ始めていることです。

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  • オレンジがファーストユニット、青がセカンドユニット。

相も変わらず独自指標で算出していますが、得点ランキング、オンコート +/- の値などを比較してもファーストユニットの方が成績が良い。一緒に出ている時間を考慮しても、「誰が出ても同じ質」のチームを作るにはまだ積み上げる余地がありそうです。

相手チームにとっては、タイムシェアによってプレイタイムを得るセカンドユニットの時間をどう詰めるかは注目したいポイント。

 

もう一つ気になることとしては鵤選手の立ち位置です。

PG の役割を担っているにしては、アシストやターンオーバーが少ない。もしかすると、ボールハンドラーとしての負担がロシター選手にかかっているようにも見えます。また鵤選手の 3P% が思うよりも伸びていません。ここは遠藤選手も同様で、今シーズンの 3P% はロシター選手、もしくはセカンドユニットのピーク選手、渡邉選手に実績が残っています。それでも +/- の値はチームで 3 番目に良いので、ディフェンス特化に活路を見出しているかもしれません。鵤選手が試合の中で自らの価値をどこで証明するのかは重要なポイントと言えそうです。

 

まとめ

今回は新しい切り口を試してみましたが、いかがだったでしょうか。

全体的な宇都宮ブレックスの印象としては「かなりロシター選手に負担がかかっている」ように見えます。それはプレイタイムだけではなく、攻撃に関する組み立てからフィニッシュまで彼がいなくては成り立たないのではないか? と思うほどに偏重があり、それを補うはずの日本人選手は実は違うユニットにいるというのが、隠された堪えどころと分析しました。

 

宇都宮ブレックスの勝利のほとんどはチーム全体の堅守で積み上げてきたもの。ベースラインを維持しながらの更なるレベルアップが期待されます。